献血ルーム(血液センター)の看護師の生活

献血ルームで働きたい看護師さんへ 〜献血ルームへの転職〜

この記事を見ているあなたは何かしらの理由で、献血ルームへの転職が気になっている方だと思います。

 

現在働いている病院の労働環境に不満を持っている方、実際に転職活動をしているという方、ブランクがあり病院への復帰は不安だという方、家庭と両立できる仕事を探し中という方、献血ルームで働きたいという理由は様々でしょう。
けれども知りたい情報がなかなか見つからない……。

 

そんなあなたに少しでも情報を提供できればと思います。

献血とは?

献血とは、病気や怪我で輸血を必要としている人のために、自発的に無償で血液を提供することです。日本での献血の受入れは、国(厚生労働省)から唯一、採血事業者として許可を受けている日本赤十字社が行っています。

 

献血の種類は全血献血(400mL献血・200mL献血)成分献血(血小板成分献血・血漿成分献血)、があります。400mL献血と200mL献血は、血液中の全ての成分を献血する方法です。一方、成分献血は、成分採血装置を使用して血小板や血漿といった特定の成分だけを採血し、体内で回復に時間のかかる赤血球は再び体内に戻す方法です。

 

ちなみに献血ルームでは、全血献血、成分献血ができますが、献血バスは全血献血のみとなります。

 

献血ルームでの看護師の仕事

主な仕事はもちろん採血になります。しかし、ただ採血すればいいという単純な仕事ではありません。献血は血液製剤を作る行為であるため、品質管理が徹底されており、マニュアル通りに作業をする必要があります。一つでも逸脱すると製品にできないため緊張感が伴います。

 

事前検査、穿刺部消毒、ラベル張り、穿刺、機械操作、ドナーの状態観察、ドナーへの説明、抜針、製品のシール、搬出までの温度管理など全てにマニュアルがあり、その通りに仕事をしなくてはなりません。ミスをした場合はインシデントレポートを提出し、全てのルームで情報を共有します。病院では治療の一環として行っていた採血ですが、ここでは「血液製剤を作るための行為」に変わります。

 

清掃や資材管理など病院では看護助手さんがしてくれていた仕事も看護師の仕事になります。その他にも医師の補助や献血による副作用(皮下出血、VVR、クエン酸反応 等)の対応など仕事は多岐にわたります。献血バスでは資材の準備、搬入、搬出などの力仕事もあります。逆に言うと、マニュアルが徹底されているため覚えてしまえば仕事が楽に感じられるようになることも。ただ採血に対して苦手意識のある人は慣れるまでは辛いかもしれません。

 

看護師として献血ルームで働くには?献血ルーム・血液センターの求人について

正看護師免許が必要です。経験の有無は特に問われません。
 
献血ルームは健常者が対象ですし、接遇も大切になります。サービス業に近いため人柄の良さが重要になってくるように思います。間違われやすいのですが、赤十字病院が献血ルームに看護師を派遣している訳ではありません。献血に携わるには各都道府県の赤十字血液センターに就職することが必要です。1日だけの単発の派遣などは募集していません。

 

都道府県によって募集人数などが異なるので、各都道府県の赤十字血液センターのホームページで求人概要を確認するのがおすすめです。

 

首都圏や大都市の血液センターでは慢性的に看護師が不足しているので、常に募集がかかっています。

 

一部の看護師の転職サイトの他、新聞の折り込みチラシにも募集が載っていたりします。

 

看護師転職サイトのマイナビ看護師では血液センターの求人も取り扱っており、条件交渉もしてくれますので、おすすめですよ。

 

⇒献血ルームの求人はこちら マイナビ看護師

献血ルームではどんな人が働いているの?

病院勤務が合わず退職した人や、家庭と仕事の両立を目指す人が次の職場として選ぶ場合がほとんどで、新卒の看護師はまず見かけません。10年以上のブランクがある方でも問題なく採用されますし、実際にブランクのある看護師が多く働いています。

 

圧倒的に既婚者が多く、20〜50代まで年代は様々です。

 

子育て中のスタッフも多く、子供の行事のために休暇の希望を出せるなど、周りの理解もあります。献血ルームではルームの規模にもよりますが、常時7〜8人の看護師が働いているため、急な休みにも対応してくれます。育児期間中は早退時短制度もありますが、制度が使えるのは就職後にママになった人だけ。

 

最初から小さいお子さんがいる場合は時短が使えないので、保育園の送り向かいなどサポートしてくれる人が必要となります。また献血バスは、バスに乗る人数が決まっており、急な休みにあまり対応できません。早朝勤務や帰りが遅く、不規則になる事も多いので時間に融通のきく人が配属されています。

 

なぜ常に募集があるの?

看護師の離職率は高いです。向き不向きがあり、やっぱり病院でバリバリ働きたいと考える人は早く辞めてしまう傾向にあります。福利厚生はしっかりありますが、夜勤のある病棟勤務に比べるとお給料は下がります。 単純な仕事だと思われがちですが、採血を失敗すると副作用用紙やインシデントレポートを書かなければならず、実は多くを求められます。採血に苦手意識のある人、細かい作業にストレスを感じる人は向いていません。

 

ですが勤続10年、20年以上の職員も多く、自分に合っていれば長く働けられる職場です。

 

人間関係は?

これは献血ルームに限らず、色んな人が集まって仕事をしている以上、不満が全く出ないということはないように思います。

 

ですが、病院と違い、突発的な仕事はなく、イライラしたりストレスが貯まることは少ないので、比較的穏やかな人間関係を築けます。特に病院から転職してきた人は、穏やかな人間関係に驚くかもしれません。若い看護師が多いルーム、年配の看護師が多いルームなど、各ルームによって特色が別れます。

 

家庭を持っている人が多いため、業務終了後はすぐに帰宅してしまう人が多いですが、仲良くなると飲みに行ったり、お互いの家に遊びに行くことも。ドナーさんがいない空き時間はスタッフ同士ちょっとしたおしゃべりをすることもあります。

 

ただし正社員、非常勤で待遇やお給料面が変わってくるため同じ看護師でも、微妙な空気を感じることもあります。正社員と非常勤の違いについてはまた詳しく書きます。

 

応募〜配属されるまで

まずは、血液センターに履歴書を送ります。面接日を指定されるので各地の血液センターなどで面接を受けます、志望動機、献血への思いなどを聞かれます。そして希望の勤務地や勤務日数を相談します。後日、合否の連絡が来るので、早ければ翌月から勤務開始となります。制服、靴、名札など必要なものはほとんど支給されます。まずは非常勤嘱託(つまりパート)からスタートします。

 

献血ルームの移動はあるの?

最初は希望の献血ルーム(もしくは献血バス)に配属される事が多いですが、何年も同じ献血ルームで働くことは難しいです。非常勤嘱託でも3〜4年に1度、移動があります。ある程度は考慮してくれますが、バスの勤務になることも。お子さんがいる場合でも自宅から遠くのルームに移動になることもあるので家族の理解が必要です。

 

献血ルームの看護師の給与について

まずは非常勤嘱託からスタートですが、最初の3ヶ月は試用期間になります。各都道府県によって時給は変わってきますが、首都圏だと試用期間は1,380円、月20日勤務で、月給17万ほど。その後は1,580円になり、諸手当込で月給20〜25万ほどになります。残業手当は5分単位で出ますし、有給、夏休み休暇も100%とれます。非常勤でもボーナスが出るため年収は380万ほどになります。献血バスの場合は手当が代わってくるので、収入は多くなるようです。

 

非常勤と正職員の違いは?

非常勤と正職員では、福利厚生やお給料が違います。休日出勤手当、住居手当が支給されます。ボーナスの額も異なります。年収500〜600万になることも。さらには厚生年金の掛金も異なります。ただし正社員になると雑務や残業時間が増え、当然責任も増します。非常勤のように優遇されることは少なく、自宅から遠い献血ルームや献血バスに移動になる事もあるため、それなりに覚悟が必要です。

 

優秀な職員は勤務年月にかかわらず、30代でも昇格し、係長(その献血ルームのトップ)になる人もいます。役職はその他に課長、部長があります。お給料は日赤の規定に基づいて決められているようですが公務員に準ずるようです。

 

献血ルームで正職員になるには?

常勤嘱託職員(月20日勤務のパートのこと)として1年間勤務後、正規職員への登用制度があります。ただし、残念ながら1年勤めたからと言って誰でもなれる訳ではありません。日々の勤務態度などが判断され係長の推薦が必要になります。なので、明確な規定や試験がある訳ではありません。

 

なれる人は1年でなれるし、なれない人はずっと声がかからないといった現象が起こります。明確な判断基準がないのが辛いところです。若い人の方が雇用されやすい傾向にあります。正社員になりたいと自分からアピールすることも必要です。また東京都など常に人材が不足している場所は正社員になりやすいです。

 

休日について

土日祝日も出勤が求められます。土日祝日に休めるのは月に3日程度です。年間休日は非常勤、正社員共に120日以上あります。休み希望はほとんど通りますが、5日以上の長期の休みは年間を通してとることは難しいかもしれません。またお盆やお正月は交代での休みになります。

 

福利厚生について

健康保険、雇用保険、厚生年金保険などの社会保険に加入できます。また福利厚生としてベネフィットワンで各種チケットを安く買うことも可能です。非常勤嘱託であっても産休、育休が取れ、手当金も支給されます。

 

勤務時間、献血ルーム一日の流れ(例)

一例ですが、以下のようなスケジュールです。

 

9:20 出勤
9:30 朝礼、ミーティング、必要な機材の準備
10:00 ドナーの採血開始
13:00〜14:00 休憩
14:00〜18:00 採血業務(その間10分〜15分の休憩時間あり)
18:00〜18:30 後片付け、掃除
18:30 退社

 

朝はゆっくり出社できます。病院と違い情報収集は必要ないのでギリギリに出勤しても大丈夫です。残業はほとんどありません。18時に献血が終了するルームの場合、18時30分には帰れます。忙しい日でも19時頃まで。勉強会・ミーティングは業務終了後、月1回程度。研究発表は全くと言っていいほど、ほとんどありません。献血バスは早朝勤務があり、戻ってくる時間が遅くなるため不規則になりがちです。

 

就職前に自己学習は必要?

病院勤務の場合、疾患に関する事前学習が必要ですが、献血採血はマニュアルがあり研修期間もしっかりあります。成分採血で使用する機器は業者の担当者が教えてくれます。また事前に情報収集をしたくても採血業務に関してはほとんど情報がないというのが実際だと思います。病院の場合「そんな事もわからないの?」と怒られるのは日常茶飯事かもしれませんが、献血は特殊な業務なため、最初はわからなくて怒られることはほとんどありません。スタッフも丁寧に教えてくれます。

 

献血ルームに就職してからの流れ

まずは研修期間があり、全血採血を習得します。1ヶ月ほどして採血に慣れてきたら成分採血も覚えていきます。機械の種類はCCS、テルシス、トリマの3種類です。採血キットのセットや操作手順を覚えるまで、若干時間が掛かることになりますが、原理は大体みんな同じなので数をこなしていけば覚えます。タッチパネル式で画面の指示通り数値を入力していきます。必ず研修があり、担当者のスタッフが丁寧に教えてくれます。1年ほどすると事前採血を担当します。このように1年かけて全ての採血を担当できるような教育体制になっています。

 

採血マニュアルのほかにSOPといって(Standard Operating Proceduresの略)業務の品質を保持し均一にするために、その業務の作業や進行上の手順について詳細に記述した指示書があるので覚える必要がありますが、徐々に覚えて行けばいいので暗記に自信がない人でも大丈夫です。

 

副作用への対応

献血にはリスクもあり、副作用が出現することがあります。採血中や採血後にVVR(気分不良、吐き気、めまい、失神)、皮下出血やまれに神経損傷を起こす人がいます。成分献血ではクエン酸反応(唇や手足がしびれる)などもあります。副作用が出現した場合でも、一人で対応することは絶対にありません。ベテランの看護師がついて対応の仕方を教えてくれます。また医師が常駐しているので指示を仰ぐことができます。

 

副作用はどんなドナーにでも起こりうるもので、献血によって健康被害が生じた場合、医療費等を補償する献血者健康被害救済制度がもうけられています。看護師に賠償問題がくることはありません。

 献血は感謝の気持ちを大切に

献血はボランティアです。ドナーさんは無償で血液を提供してくれています。採血は痛みを伴い、不安もあります。ドナーさんを不安にさせることなく、安全に献血をしてもらうことが大切です。最初のうちは、失敗したり、トラブルが起こるかもしれません。ですが、真摯な態度で接すればドナーさんもわかってくれます。

 

輸血を受ける患者さんに代わって「ありがとう」の気持ちをドナーさんに伝えるのも看護師の仕事です。

 

最後に 献血ルームでの勤務を考えている方へ

今後、少子高齢化の進行によって、輸血が必要な患者数はますます増加すると予想され、このままでは医療に必要な血液が今後大幅に不足するおそれがあります。そのため多くの献血協力者が必要になります。それに伴い献血ルームの看護師の需要も拡大していくでしょう。

 

ずっと病院で働いていた看護師さんにとっては本当に献血ルームに就職していいのか迷いや葛藤があると思います。確かに今まで培った技術や知識は求められないかもしれません。ですが病院とは違った学びや発見はきっとありますよ。

 

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献血ルーム看護師になるためにはどうすればいいか?求人情報や必要な能力、どんな人が向いているのかを書いています。

 

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献血ルームの看護師が他の課へ転職する場合はどこが多いのか?進路について書いています。また、献血ルーム看護師へ転職するにはどうすればいいのかも書いています。

 

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